女 優

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女 優

 時代劇以外では、NHKのスペシャルドラマやタモリの『世にも奇妙な物語』、松本清張シリーズの二時間ドラマなどにも、何度か参加しました。  リヤカーひいていたり、とか😅  だれかを尾行していたり、とか🥺 汽車(!)の中の乗客とか😷  会場のなかで拍手する役とか💬😳  ロックスター(?)の追っかけであるとか🤔                 撮影現場は、兵庫県の僻地だったり、大阪と京都の間であったり、大阪市内だったり。  あ、ちなみに、大阪市内には、レトロな建物がまだ残っています。明治、大正、昭和初期に建てられたものの一部とか。  たとえば、丼池繊維会館。  「丼池」は「どぶいけ」と発音します。「どんぶりいけ」が、縮まったのでしょう。  もともと、そのあたりにあった池の名らしいです。大阪の船場(せんば)と呼ばれるエリアにあります。  この繊維会館で撮影したのが、NHKスペシャルドラマ『白洲次郎(しらすじろう)』(全三回・2009年放映)の一部のシーンでした。  白洲次郎役は、伊勢谷友介さん。  その奥さん、白洲正子役は、中谷美紀さん。  そして、紙葉は……な、なんと、正子(中谷美紀さん)のお父さん(中原丈雄さん)の部下・後輩役でした工エエェェ(´д`)ェェエエ工  ど、どういうこと? でしょうか。  若き日の白洲次郎が、正子のお父さん(中原丈雄さん)に、娘さんを嫁にいただきたいと、英語で(!)承諾を求めるシーン撮影でした。時代は昭和初期、戦前ですね。  ど、どういうことでしょうか? なぜ紙葉が抜擢されたのでしょうか?  実はその撮影の前に、繊維会館のなかのレトロなフロアで、葉巻をふかした要人パーティみたいな撮影がありました。  当時の紙葉はあるいはストレス太りだったのでしょうか、もともと口髭をはやしており、メガネはレトロな、ほら、桂文珍さんがしておられるような丸ぶち銀メガネをしておりました。(あ、文珍さんにも、ずっと以前にインタビューさせていただいたことがあります。章を改めて紹介しますね)。  しかも、準備されていた葉巻の数が少なくて、煙がもうもうとたちこめないのに苛立った監督さん(たぶん。テレビドラマでは、監督ではなく「演出」の用語を使うのが一般的でした。いまは、民放ではテレビドラマでも監督表記が増えていますが、NHKでは、ほら、今も、大河ドラマでも「演出」の用語ですね。監督と同義です)が、若いスタッフに葉巻を買いに走らせたのでした。  あとで、どこに買いに行きました? と、そのスタッフの方に聞きますと、心斎橋の東急ハンズ(いまはありません)まで、ということでした。  葉巻、とっても、高いのですよ。  一本が、安くても1000円。一本数千円というのが相場。  当時の紙葉は、愛煙家(パイプです!)でしたから、そりゃもう、めったに吸えない高価な葉巻を、さぞかし美味しそうに味わっていたはずです。  しかも、堂々として物怖じしない(🤭)様子の紙葉は、地毛の口髭、レトロなメガネ……でしたので、撮影スタッフのなかの一人(たぶん配役担当)の目に止まったのでしょう、たぶん。  そして、強引に(!)、 「こちらに来てください」 と連れていかれて、喫茶店フロアの、やや大きなテーブルに座らされました。  紙葉の右隣には、正子のお父さん役の中原丈雄さん、左隣に一人のアメリカ人青年。三人が喋っているところに、白洲次郎役の伊勢谷友介さんが突然現れて、英語で(!)、正子のお父さんに、結婚の承諾を求めるシーンでした。  目の前に佇んだ伊勢谷さんの英語は、すばらしい発音でした(たぶん、メイビー……)。お父さん役の中原さんを見据えてしゃべりつつ、チラ見で紙葉にもさりげなくアイコンタクトを送ってきます……それもごく自然に。同席しているお父さんの後輩にも気を配っている様子を、一瞬で表現していました。  ドキリ。  と、あたかも、自分がプロポーズされたかのように、紙葉はポッと頬を染めていたはずです(オイオイ😅)  そのリハーサル後、監督さんがテーブルまでやってきて、紙葉とアメリカ人青年に向かって、 『もっともっと、大げさに驚いてくださいっ! びっくりして口をぽかんとあけるとか……』(あくまでも意訳) と、強烈にダメ出しされてしまいました。  そこで、本番では、紙葉は、 『オー、マイ、ガンダム……!』 と、もちろん口には出さず、アメリカ人青年と横顔を見せ合いながら、大袈裟に驚いてみせました。  おそらく、もう一回だけ、撮り直したはずですが、どうやら、それでうまくいったようでした。  紙葉を指名してくれた撮影スタッフも近づいてきて、 『よかったですよ』 と、声をかけてくださいました。  ひゃあ……と、嬉しかったのですが……な、なんと、放映時には、そのシーン、全面カットされていました🥺😒  ひゃあ……ど、どういうことでしょうか?  びっくりクリクリ、とは、このような情況心理を表すフレーズなのかもしれません。  それはそれとして。  何度かの休憩をはさみながらも、パーティシーン(というか、男性の社交クラブのようなもの)をいろんな角度から撮影していました。  休憩のとき、中谷美紀さんと伊勢谷友介さんが、テーブルに向かいあって喋っているのを耳にしました。と、いいますか、その内容をどうしても知りたい、知らずにはおくものか……といった取材記者根性だったでしょうか。  何げなく近づくと、中谷さんは、表情を変えないまま、伊勢谷さんの女性関係をたずねておられました。 『とても、おもてになるようで……』みたいなニュアンス。しかも、中谷さんは無表情。たずねられた伊勢谷さんは、あたかも悪戯(いたずら)を見つけられたワルガキのように、照れながら、ニヤニヤされていたのが印象に強く残っています(あくまでも個人的印象です)。  さて。  同じテーブルで、こんどは、中谷美紀さんと監督さん(演出家)が、一対一で、演技のことについて(おそらく……)、互いの視線を真正面から受け止め合いながら、真剣に語り合っておられたのを目撃しました。  そして。  そのとき、  ある事件が、  起こったのでした……
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