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淀君幻想
では、話をもとにもどしましょう。獅童さんと“連れション”したときの映画は、淀君が主人公の作品でした。豊臣秀吉の側室、秀頼の母親ですね。織田信長は、淀君には伯父にあたります。
原作は、井上靖(1907~1991)の『淀どの日記』。
なぜ、映画のタイトルをぼかしてあえて明示しないかといえば、監督と主演女優の悪口(なにも紙葉がけなすのでなく、撮影中にスタッフがグチを言ったり、けなしていたから💬)にちょいと触れるからです。調べればわかるとはおもいますけれど(笑)。
さて、エキストラの世界は、完全な階級社会といってもいいかもしれません。
まず、製作会社の社員系(雇用形態はさまざま)。ほら、時代劇なら、馬を乗りこなすカッコイイ武将たちが必要不可欠ですね。また、アクションクラブ系との契約や、あるいは近隣の乗馬クラブなどからの参加もあるかもしれません。
あ、映画の場合は、基本的には〈制作〉ではなく、〈製作〉の二文字を使います。どちらも原意は同じなのですが、〈製作〉のほうが、より大掛かりなものをイメージさせています。けれども、それに参加する個々の会社は、〈制作会社〉の四文字を使用するケースがほとんどだと思います。〈制作〉には、より職人的なイメージ、モノづくりへのこだわりのイメージが強いのかもしれませんね。テレビドラマの場合は、紙葉的印象では、〈製作〉〈制作〉の文字使用が混在しているようです。
〈制作〉と比べて、〈製作〉は、工業生産のような、よりシステマチックな大規模システムの意味を含ませているのでしょう。
話が逸れました。
さて、ちゃんとした芸能プロダクションから派遣されてくるエキストラ群もいます。小さなプロダクションや劇団など。たぶん、日当は出るはずです。所属するプロダクションから給与の形で。
プロダクション側にしてみれば、所属する無名タレントの修行の場、見聞を広めさせてやる教育研修的な位置づけ、映画やドラマづくりのプロセスを実地に体験させてやる絶好の機会ですし、製作側との継続的なコネクションの確立……など、低報酬でも進んで参加することで、さまざまなメリットがあるのではないでしょうか。
時代劇なら、小姓や青少年武将、腰元、お付きの侍女などは、この部類に属するのではないかとおもいます。セリフはないけれども、絵的に(映像的に)どうしてもそこに居なければならない必要不可欠な人物たちは、あらかじめ手配しておかなければならないのでしょう。
もう一つのグループは、撮影クルーの身内、人脈からの参加。大勢のエキストラが集まらない場合に備えて、最小限の人員手配が必要です。
そして、“その他大勢”のノーギャラのエキストラ。
そうです、紙葉もこの枠でした。
ノーギャラとはいえ、弁当は出されますし、また、オリジナルグッズ(映画タイトルロゴ入りのTシャツであるとか、エコバッグ、オリジナルキーホルダーなど)を帰るときにちょこと頂ける場合もあります。ファンなら(たとえば監督やアクターなどの)、これを目当てに遠方から新幹線に乗ってわざわざ参加してくるひともいます。交通費は出してくれる場合も、ない場合もあります。あるいは、一律に、交通費込で、一日千円とか、二千円とか支給される場合もありますが、そのときは、オリジナルグッズは貰えません。オリジナルグッズを渡されるのは、交通費が出ない場合だと考えていいかもです(個人的印象です)。
あ、交通費が支給される場合でも、新幹線代や飛行機代などは当然出ませんよ。エキストラ募集の際に、あくまでも日帰り可能な近隣在住の人に対して告知されます。
紙葉が属したグループのエキストラは、泊まり込みでの撮影参加はありません。そんなことを許容すれば、管理体制構築や安全面などの余計なコストがかかってしまうから。前述した社員系、プロダクション系のエキストラは、泊まり込み撮影もあるかもしれません。
あ、話は飛びますが、かつて人気を博したテレビドラマの名探偵・浅見光彦シリーズ(原作・内田康夫)は、内田康夫さん(1934~2018)が、元々CM製作会社の社長さんだったということもあって、浅見光彦倶楽部という年会費が必要なファンクラブを組織化していました(現在は、〈浅見光彦友の会〉に名称変更)。当時から会員数は一万人を超えていたとおもいます。このファンクラブの会員特典として、撮影現場への招待やエキストラ出演があったはずです。このような仕組みは、ビジネスモデルという側面からも、とっても参考になります。
なぜなら、新刊を発刊すれば、最低でも一万部(会員数)の売り上げを予測できるからです。出版社側にとっても、刊行リスクが大幅に低減されますね。
また、ファンを囲い込むことで、その一人のファンの固有人脈ネットワークに対しての広報宣伝(コストがかからない点が最大のポイント)の起点になります。わかりやすく言えば、〈話題づくり〉です。
顧客囲い込み戦略は、企業・組織にとっては、時代が変わろうとも決して色褪せることのない、重要で有効的な手法の一つなのではないでしょうか。
あ、ちなみに、内田康夫さんのデビュー作(『死者の木霊』)と、第二作(『本因坊殺人事件』)は、ともに自費出版です。これが朝日新聞の書評欄にとりあげられて話題になったことがきっかけで、第三作からは商業デビューすることになりました。
有名なエピソードです。
きっかけというのは、どこにでも転がっているものではなく、まず、自分から何らかのアクションを起こす(→内田さんの場合は自費出版)ことが大切ということなのでしょう。
その意味では、エブリスタでの作品公開やコンテスト参加も、重要なアクションのひとつだといえるかもしれませんね(スリスリ🤭)……
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