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……この淀君の映画撮影にも、はるばる四国から滋賀までやってきていた方がいました。歴史ファン、戦国時代好きの男女が多かったようにおもいます。
撮影現場には、携帯電話は原則持ち込み禁止なのですが、やはり時代劇は鎧姿や当時のファッションで着飾った自分を撮しておきたいもので、休憩のときに、エキストラ同士で互いにこそっり撮り合ったりもします。
そのときに初対面の相手とも話をします。
誰もが気になる話題は、
『いままで、どんな撮影に参加した……?』
『どこの現場が一番おもしろかった……?』
『○○○さんと話したことある……?』
といったようなもの。
これが、紙葉的にいうならば、〈エキストラ三大関心事〉。手っ取り早くいえば、自慢話ですね。
○○○さんとは、アクターや監督さんのこと。みんなそれぞれに自慢したいちょっとしたエピソードをもっています。たぶんリア友に告げても、『ふーん、そう』で素っ気なくすまされるようなことでも、同じエキストラ仲間なら、身を乗り出すようにして、フンフンと興味深かく聴いてくれますから。
やはりみんな、どんな作品に参加したのか、気になるところです。
そして、やはり、なんといっても一番の関心は、
『お弁当の内容、豪華さ』
の比較検証だったかもしれません(個人的直観)🤭
この撮影現場ではなかったのですが、ある女子エキストラ(おそらく20代前半)は、堤真一さん主演の現代物映画で、その堤さんの後ろで、花魁になったのだそうでした。
そうです、花魁姿に。かなり露出時間もあったはずで、
『サイコーの一日でした……』
と、回想(自慢)していました。
これなどは、かなりレアケースです。
普通なら、ちゃんとしたプロダクションから派遣されてきたエキストラが担う役割です。その理由は、やはり、治安対策です。アメリカでは、熱狂ファンが俳優をなんとかしたり……といった事件もありますから、主役級の周りには、身元のしっかりしたエキストラを配置しておくのは、危機管理の側面からも当然の配慮です。
ですから、このケースは、例外中の例外。
監督か助監督にコネがあったのか? を確認すると、全然なし。
おそらく、推測するに、きちんとしたプロダクションから花魁役を手配してはいても、当日の撮影で、やはり絵的に(映像的に)、花魁の数が足りなかったのでしょう。
撮影現場には、こういうハプニングもつきものなのであります。
ほら、紙葉が、獅童さんと連れションできたのも、実は、冷静に考えれば、不思議な偶然の連鎖なのです。
……そのとき、紙葉は、主役級の方々の、供奉衆、大将を警護する旗本の役でしたから、本多正信役の獅童さんの近くにたまたまいたわけなのでした。
あ、連れションだから、たま、にかけているわけではありませんよ🤭
さて、この現場には、侍たちが歓声を挙げるシーン撮影もありました。
開けたところに空が拡がっています。
その下は山々。
監督さん『みなさぁああん、目の前に、大坂城があるとおもってくださぁああぁい。ほらぁ、真正面、あの空のあたりですぅうううぅ』
おお、いまは、何もないけれど、映画館では、あそこに大坂城が……と、みんなは思いおもいに想像しながら、指示に従って、さまざまな歓声をあげます。おそらく、編集の段階では、よりリアルな声や音が追加されるのでしょう。
監督さん(たぶん)『ほら、炎があがっているとおもってくださぁい、大坂城が燃えていますよ、ほら、想像してみて……』(あくまでも紙葉的に意訳してます。以下同。)
このとき、紙葉は、おもわず、クスンと笑ってしまいました。
なぜかといえば、紙葉の個人事務所(四畳半の賃貸ワンルームマンション)から、徒歩10分程度で、大阪城(明治維新後は、大阪の表記。それまでは、大坂です)に着くからでした……。
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