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『は~い、みなさぁああん、思いっきり、転がっちゃってくださぁい』(意訳)
撮影監督さん(たぶん)が、メガホン越しに叫ぶと、みんな一斉に大きな穴(深さはそれほどなく、幅が広いという意味)をめがけて、飛び込みます。
飛び込み……といっても、地面にはマットもなにもなかったのではないかとおもうのです(個人的印象)。
テイクワンでは、みんなどうしていいか、互いの動作を片目で確認しつつ、オドオドとしながら、それなりに転がるふりをするのです。
絵的(映像的)には、迫力もなにも、なかったのでしょう。
当然もう一度、やり直し。
テイクツーでは、ギャーとか、うオーとか、ギャーとか叫びながら、転がります。
すると、不思議なものです。声を出すと、しぜんとからだがついてくるのです。爆発で「投げ出された感」が、出てくるのです。
撮影監督さん(たぶん)『おおっ、た、い、へ、ん、よく、なりましたよぉ、すばらしいですぅ……じゃ、その調子で、もう一度、やってみましょうかぁ』(意訳)
テイクスリーでは、みなさん、要領をつかんで、前よりも大声で叫びながら、やりました(やらされました🤧)。紙葉も、クソ度胸がついたのか、転がった人の上に重ならないように空地を見つけて、くるくると右肩から転げましたぞ😅
ひゃあ、やればできるじゃないか……! と、自分でも思いました。
テイクフォーがあったかどうかは覚えていませんが、おそらく、合計3~4回で、すんだはず。
すると、撮影クルーたちが、一斉に歓声をあげながら、大きな拍手で、
「すごい、すごい!」
と、エキストラたちに感謝の気持ちを伝えてくれました。
その場におられたのか、あるいは別のシーンだったのか、メイン俳優の一人、山本太郎さん(今は政治家ですね)が、エキストラ群に向かって、
『みなさぁん、ごくろうさまですぅ。ほんと、エキストラのみなさん、すばらしいですよね、みなさんがいないと映画が造れないんです。みなさんが参加してくださってこその作品づくりなんですよぉ。ほんとうに、頭が下がりますぅ。ごくろうさまですぅ、ギャラ、出ないのに……(笑)』(意訳)
と、みんなを大いに沸かせてくださいました。
すると、その場の空気が一変しました。
エキストラと撮影クルーの間に、一体感といっていいのか、みんなで一緒にひとつの作品をつくっているんだ、といった強い感情が芽生えてくるのでした。
共同幻想、と言ってしまえばそれまででしょうけれど、まさに、先述したような「擬似連れションの輪」が、見事にできあがって、川面に浮かんだ波紋のように、広がっていくのです。さすがに、ひとを乗せる、巻き込むのがうまいですね💬
ただ指示されたままに動くのと、なにかを指示されたら自分なりにこうしよう、ああしようと、ほんの少しでも考えながら動くのとでは、雲泥の差があるのではないでしょうか。
ほら、リアルなビジネスの現場でも、いわゆる「指示待ち人間」か、そうではないのかとでは、仕事の成果にも差がつくはずですね、たぶん、メイビー、パファープス😳
さて、いよいよ、水野美紀さんの話に移りましょう。
里人に紛れ込んだ女忍(水野美紀さん)……のそばには、いつも、老婆に扮した女性(年配の)がいました。
(あれれ、どこかで、みた顔!)
と、紙葉はすばやく気づきました。
テレビの時代ドラマでも、よく、映っていたような気がしたのです。セリフのないエキストラでしたが、
(ははぁん、あのひと、映画製作会社の社員系のひとだぞ、たぶん、メイビー、パファープス!)
と、紙葉なりにすばやく、判断したのでした。
当たっているか、どうかはそのときにはわかりませんでしたが、チラホラと、その老婆の動きを観察していると、水野美紀さんをそれとなく護っているような印象を受けたのでした。映画のなかでの配役上の護衛ではなく、女優さんをハプニング(熱狂的ファンから被害を受けないかどうか……)から護っているにちがいないと、紙葉なりに判断しました。
エキストラのなかには、こうした社員系の生え抜きエキストラが紛れ込み、スターを不慮の事故から守っているのでしょう。
それと、撮影進行の補助のような役割、エキストラをある方向へ導いたり……といったような役割も担っているはずです。
そう咄嗟に判断した紙葉は、用もないのに、その「老婆」からつかず離れずの距離をとることにしました。老婆が右に動けば右へ、左に動けば、ささっと左へ……。
この判断が功を奏したのか、紙葉はその「老婆」から、手招きされて(!)、水野美紀さんのすぐ近く、ほんの数歩以内に佇むポジションを獲得できたのでした💬🤭
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