1人が本棚に入れています
本棚に追加
「私、デラックスいちごパフェで」
麗はメニューを指差しながら店員に向かって言う。
「お前、英雄の奢りだからって……あ、私はデラックスチョコバナナパフェで」
言いながら、ニコニコした表情で英雄を見つめる友子。
「……バニラアイスを」
英雄は苦笑いしながら店員に言った。
「なんかごめんね、英雄くん」
麗はパフェを食べながら片手で英雄に謝る。
「いいんだ、俺ダイエットしてるから」
「英雄がダイエット!?」
驚く友子。麗は事前に相談を受けていたので、あまり驚かない。
「……俺決めたんだよね」
英雄は、二人にある決意を表明する。
「……急になんだよ」
「うん、気になる」
友子と麗は、パフェを食べながら聞き返す。
「俺、ダイエットして、体鍛えて、総合格闘技のチャンピオンになる」
「は?何言ってんの?」
友子は飽きれた様子で英雄を見る。
「……そのままでもいいだろ」
友子がどういう意味でそれを言ったのか、英雄にはわからなかった。
「……ダメなんだ。このままじゃ」
「ダメなんてことは……」
「強くなりたいんだ」
そう言う英雄の決意は固く、目にはメラメラと燃え上がる闘志が見えた。
「……まあ、それはいいとしてなんで急に」
友子は麗と英雄を交互に見る。
「俺、伴野に対して手も足も出なかった。だから、もっと強くなりたい」
「そんな必要ないだろうが」
「もっと強くなって……その……えっと……」
「……なんだよ、煮え切らないな」
言いながら、少し期待する友子。
「言っちゃいなよ、英雄くん」
麗はそれをそそのかす。
「……麗乃さんを守りたい」
「言うね、英雄」
友子は、ニヤニヤとした表情を隠しきれないまま、英雄を煽る。
「……いいよ。私より強くなって、私なんか必要ないくらい強くなって。そしたら私を守ってよ」
「……」
麗は、そんな二人を見ていて思わず顔を伏せる。
「……ま、まあその前に、私が英雄をボッコボコにしちゃうかもしれないけどね!」
「ご、ご褒美です……ブヒィ」
「おま、その笑い方やめろ!!」
友子は英雄の頭をかるくはたいた。
最初のコメントを投稿しよう!