彼女と英雄

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「私、デラックスいちごパフェで」 麗はメニューを指差しながら店員に向かって言う。 「お前、英雄の奢りだからって……あ、私はデラックスチョコバナナパフェで」 言いながら、ニコニコした表情で英雄を見つめる友子。 「……バニラアイスを」 英雄は苦笑いしながら店員に言った。 「なんかごめんね、英雄くん」 麗はパフェを食べながら片手で英雄に謝る。 「いいんだ、俺ダイエットしてるから」 「英雄がダイエット!?」 驚く友子。麗は事前に相談を受けていたので、あまり驚かない。 「……俺決めたんだよね」 英雄は、二人にある決意を表明する。 「……急になんだよ」 「うん、気になる」 友子と麗は、パフェを食べながら聞き返す。 「俺、ダイエットして、体鍛えて、総合格闘技のチャンピオンになる」 「は?何言ってんの?」 友子は飽きれた様子で英雄を見る。 「……そのままでもいいだろ」 友子がどういう意味でそれを言ったのか、英雄にはわからなかった。 「……ダメなんだ。このままじゃ」 「ダメなんてことは……」 「強くなりたいんだ」 そう言う英雄の決意は固く、目にはメラメラと燃え上がる闘志が見えた。 「……まあ、それはいいとしてなんで急に」 友子は麗と英雄を交互に見る。 「俺、伴野に対して手も足も出なかった。だから、もっと強くなりたい」 「そんな必要ないだろうが」 「もっと強くなって……その……えっと……」 「……なんだよ、煮え切らないな」 言いながら、少し期待する友子。 「言っちゃいなよ、英雄くん」 麗はそれをそそのかす。 「……麗乃さんを守りたい」 「言うね、英雄」 友子は、ニヤニヤとした表情を隠しきれないまま、英雄を煽る。 「……いいよ。私より強くなって、私なんか必要ないくらい強くなって。そしたら私を守ってよ」 「……」 麗は、そんな二人を見ていて思わず顔を伏せる。 「……ま、まあその前に、私が英雄をボッコボコにしちゃうかもしれないけどね!」 「ご、ご褒美です……ブヒィ」 「おま、その笑い方やめろ!!」 友子は英雄の頭をかるくはたいた。
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