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麗は、友人と帰路についていた。
「ねえねえ、友子ちゃん」
そう言って麗が肩を叩くのは、麗の友人、麗乃友子。
17歳。身長191cm。体重82kg。スカートの丈が短く、髪の毛を染めている。
「なに、麗」
友子はまわりをキョロキョロ見回しながら麗の横を歩く。
「なにをそんなにキョロキョロして…」
「決まってるでしょ。麗の親友として、こうしてケダモノが来ないか見張ってるの!」
友子は持ち前の体力で、シュバシュバと麗の周りをステップする。
「あはは、確かに友子ちゃんなら頼もしいかも」
「トゥンク……」
友子は胸に両手を当てながらそう呟いた。
「実はね、友子ちゃんに相談があって……」
言いながら、麗は紙切れを友子に渡す。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
親愛なるマイプリンセス、但木様
いつも、あなたの事を見ています。
私は、あなたを守る聖騎士。
私の事は、セイントジャックとお呼び下さい。
あなたは、いつも家に帰るとき、無言で家に入って行くようですが、これではいけません。
今でこそ私がお守りしているからいいものの、いざという時、悪しき獣達へ「私は家に一人です」と告げるようなもの。
どうか、誰もいなくても、必ず「ただいま」などの声掛けをして下さい。
私はいつもあなたを見守っています。
セイントジャック
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「キッッッ…………!」
友子は思わず紙切れを投げ飛ばす。
「……これがね、靴箱の中に入ってたの」
「何なのよこれ!完全にストーカーじゃん!」
「そうだよね。なんか、昨日帰り道でも誰かにつけられてるような気がして」
「……許せない。私が絶対に守るから!」
友子は腕をまくって、それを麗に見せつけた。
「……ああ、麗たん」
英雄はねっとりとした脂汗を地面に垂らす。
「俺の手紙、読んでくれたかなぁ」
修正を繰り返し、徹夜で書き上げた渾身のラブレター。
「麗たん……かわいすぎるよぉ」
「流石にそこまでにしとけよ、デブ」
途中まで呆れ果てて空を仰いでいた光も、流石にツッコミを入れる。
「な、なんてこと言うんだヒカル!お前だって共犯だからな!?」
ラブレターは、ヒカルのアドバイスを受けながら作成したのものだ。
「まあ、ああ言うふうに書いておけば、少なくとも話ぐらいは聞いてくれるだろう」
「そうか、そうだよな!明日が楽しみだなぁ!」
英雄は、スキップするたびに粘度の高い脂汗を撒き散らしながら、光と別れるのだった。
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