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そういえば、今田の車は... ?
後で聞いてみるか... と、何の部屋だか分からない奥の部屋のドアノブに手を賭けた。
鍵も掛からなそうだ。
それなら、建付けが悪くなって開かないのかもしれない。
だがドアは、簡単に開いた。
暗い部屋の中には、女が立っていた。
「今田?」
返事はない。
ゆっくりと、一歩、二歩、前へ進む。
「ドアは簡単に開いたけど... ?」
スマホのライトで顔を照らす前に、女が 持っていた懐中電灯を点け、明かりを俺に向けた。眩しさに眼が眩む。
長い髪を上部で纏め、パンツを履いている すらりとしたシルエットを見て、今田は小柄だったことを思い出した。
じゃあ、この女は誰なんだ?
「こんにちは、オイカワくん」
今 俺が開いたドアの向こう側から、くぐもった男の声がした。同時にドアが閉まる音。
何だ... ? ヤバい と血の気が引いていく。
「簡単に引っ掛かったねー」
女が、懐中電灯の明かりで俺の顔を照らしながら近付いてきた。
やめろ という声が出ない。
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