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SIMを切り取ったカードに ID番号が載ってたはずだから、リビングの棚の引き出しを開けて探してたら、絢音が「あ。かかった」って言った。 「“かかった” って?」って聞いちゃったけど、私がなくしたスマホに... ってことだよね? 誰かが拾って電源を入れた ってこと? 充電して... ? 「あ、もしもし」 絢音が話し出して、ドキっとした。 スマホを持ってる相手が出たんだ... 「そのスマホの持ち主の家族なんですけど」 相手が出た時に 少し姿勢を正した絢音は、そんな風に話しはじめて、今は相手の話を聞いてる。 「... はい。あ、そうなんですね」とか 「いえ、ありがとうございます。助かります。... はい」って話した後に 「じゃあ 明日の夕方、駅まで行きますんで、それまで預かっていただいていて いいですか?」って言ってて、目の前が明るくなった気がした。 返ってくるのかな?って期待してしまう。 通話を終えた絢音は 「おまえ、やっぱり駅前の広場で落としてたみたいだよ」って言いながら、自分のスマホをテーブルに置いた。
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