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“あっ、来た” って嬉しくなっちゃって、隣に座った絢音に 『なんか嬉しそうだな。久々に見た気がする、そういう顔。昔は かわいかったよな... 』って言われたりもしちゃったんだけど。 道路標識みたいに立ってる時計は、もう 19時に近い。 絢音が「拾ってくれた人の連絡先も聞いときゃ良かったかな... 」って言ってるんだけど、もし私が拾った人の立場だったら、顔も知らない男の人に 自分の番号は教えたくないかも。 だから、聞かなくて よかったんだと思う。 「あ、雨」 絢音が言った時に、私の瞼にも 小さい雨粒が落ちてきた。アイシャドウ、落ちちゃってないかな? 「駅で雨宿りしながら待つか」って、二人で駅の入口の端っこに移動して、あのベンチに向かって来る人を待つことにする。 さあ っと降った雨は、すぐに上がった。 通り雨だったみたい。 でも。 20時になっても、21時になっても、“その人” は来なかった。
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