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美しい草原を眺めていて、ひとつ気付いた事がある。
あの廃病院に居る間、俺は、聞いたり その単語の文字を見た事がある “地縛霊” ではなくて、“自縛霊” だった。
亡くなった後も 別の何かに捕まったりして、地縛霊になってしまう人も居るんだろう。
でも俺は、自分で自分を縛ってたんだ。
そしてそれは、あの時だけじゃなかった。
生きていられた間にも 幾度もあった。
つまらない拘りや意地を手放していれば、もっとずっとラクだった... ってことが。
でも、それも もういい。
それだって、生きることだったから。
格好良くなかったけど、それで良かったんだ。
俺は、しあわせだった。
苦しい時は、わからないよな。
それでも、“生きてるだけで” って言葉は、真実なんだ。
自分の境遇や中の世界と、外の現実の世界との折り合いは、いつか必ずつく。
ふと、向こうにある 大木と、その先の蒼白い星々の河が気になって、柔らかな日差しに揺れる草の上を歩く。
大木の近くには、光を纏っている人が居た。
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