26

5/17
前へ
/298ページ
次へ
今田達は、また こんな事に巻き込まれる事は無いんだろうか? 巻き込んだくせに心配になった。 そして俺は、どんな罰を受けるのだろう? 「すぐに転生する者など、罪無きまま幼くして亡くなった者や、野の者等くらいのものだ」 黒く美しい睫毛に縁取られた 奥二重の眼に捕われた。 そうだ。小さな子や、野の者... 動物達だって... そういうニュースを知る度に、何で こんなに酷いことが起こるんだ... と憤って、その原因が事故でない時なら、原因となった奴を憎む程の気持ちを抱いていた。 そういう奴には、そういう念が押し寄せている事だろう。 なのに、俺はまた自分の心配を... どんな罰でも受けなければならない。 今田達に受けて取ってもらったのだから。 「しかし お前は、善良な者だ」 奥二重の黒い瞳に捕われたまま、視界が ぼやけて 涙が溢れた。 眼や鼻の奥は、胸には、まだ こんな感覚が残されていたんだ... と、ぼんやりと思う。 俺が、善良 だって? 口を開けない俺に、月夜見大神は きりりとした唇の端を少し上げて頷いた。
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

214人が本棚に入れています
本棚に追加