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「両親や 親しき者に、別れを告げて参るがよい」
上手く頷けたかどうかも わからない。
善良だ なんて...
こんなに嬉しかった事があっただろうか?
「柚葉」
月夜見大神が 誰かを呼ぶと
「はい」と、おかっぱの女の子が現れた。
女の子 といっても、中学生か高校生くらいに見える。
その子は、薄いピンクのニットの下に抹茶色のヒダスカートを穿き、チョコレート色のブーツを履いていて、この草原や大神、あの界の番人とは違う雰囲気を醸し出していた。
「この娘も お前の様に、他者に命を摘まれた者だ」
またショックを受けた。
まだ、中学生か高校生くらいだろう?
俺より ずっと... これからだって歳に...
女の子... 柚葉ちゃんは、それなのに 俺を
「つらかった ですよね?」と、労ってくれた。
首を傾げていて、おかっぱの髪の毛先が揺れている。
どんな奴が この子を殺ったんだ?
あの時、廃病院で湧き出していたものの感覚が 腹の底に甦った時、柚葉ちゃんは
「はい」と、俺に手を差し出した。
えっ?... と 固まって、大神に顔を向けると、頷かれてしまって、差し出された手に そろそろと手を載せる。
成人が触れては ダメなんじゃないだろうか?
何か嫌だな... すごく悪い気がする。
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