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そして 月の宮や、現世ではない界は
「幽世と呼ばれます。その方が生きた場所や文化、宗教によっても 呼び名は変わりますが、ここは日本だから」という事らしい。
「会いたい人を、思い描いてください」
そう言って、柚葉ちゃんは 俺の手を引いたまま、蒼い星々の河へ足を踏み出した。
あ、歩けるのか?... と思ったのは間違いで、星々の中に浮かび落ちていく。
何て場所なんだろう... 望遠鏡で覗いた夜空とも、動画やテレビで観た宇宙空間とも違う。
生命そのものの中に居るような気がした。
うっかり見惚れてしまっていたけど、そうだ... と思い出して、父さんや母さんの事を思った。
すると、星々の下に実家の屋根が見えてきて、柚葉ちゃんと 一緒に、二階のバルコニーへ降り立った。
勝手に夜だと思っていたのに、昼間だ。
「じゃあ、心ゆくまで、パパやママと過ごされてください。
月夜見さまの元へ戻ろうと思ったら、私を呼んでくださいね」
柚葉ちゃんは 俺の手を離すと、バルコニーから ふわりと浮いて消えてしまった。
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