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インターフォンが鳴って 『こんにちは』 『お葬式の時、泣いてばっかりで、及川と話せなかったんで... 』と、すっかり疎遠になっていた奴等も来てくれた。 『おじさん、おばさん』 『すみません、今日も... 』と入って来たのは、滝川と畠山だ... 小学校から ずっと仲が良かった奴等だった。 しばらく、飲んでなかったよな... 『まぁ... 毎日、本当に嬉しいわ』 母さんが喜んでくれていて、父さんも 『浬、良かったなぁ』と、俺の遺影に言っている。子供の頃の俺に言うような優しい口調で。 頷くと、また涙が溢れた。 父さんと母さんの顔は、まだ直視 出来ないでいるのに。 ******** 『浬... 』 入れ代わり立ち代わりに来てくれた皆が帰った時は、もう夜になっていた。 リビングで お茶を飲んで休憩していた 父さんと母さんは、また座敷に戻って、俺の遺影の前に座っている。 『つらかったなぁ... 』 父さんが呟くと、母さんが泣いた。 つらかった。俺も、父さんも母さんも。 もう、涙が枯れるほど泣かせてしまった事もわかる。
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