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『お前は、俺と母さんの大切な息子なんだよ。
これからも ずっと』
父さんが指で目頭を押さえた。
泣いているところなんか、初めて見る。
母さんが『かいり... 』と、肩を震わす事にも堪えきれず、後ろに座って、二人の肩を抱いた。
... 「父さんと母さんの子で良かった。
本当に良かった。
照れ臭くて 言った事はなかったけど、父さんと母さんが 大好きだよ」...
どうか、伝わりますように。
思いを込めて、口に出して言うと
父さんと母さんが顔を上げた。
『浬... ?』と、二人か振り返って、目が合った。
見えてるんだ...
さっき言ったばかりの事が、照れ臭くて笑ってしまう。
父さんと母さんは、ぼんやりと俺を見ていて、子供の俺が こんなふうに感じるのは おかしいけど、子供みたいな表情をしている。
決めた。俺は、父さんや母さんを見守る。
そのために、罪を償う。こうして泣かせた罪も。
... 「もう、往くよ。俺は、大丈夫だよ」...
二人の肩を 二回ずつ ぽんぽんと叩くと、バルコニーへ移動して、柚葉ちゃんを呼ぶ。
これ以上 泣かせたくない。
早く早く罪を償って、盆には また帰れるようにするんだ。
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