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「戻ったか」
「はい!」
月夜見大神に頭を下げる。
柚葉ちゃんにも、送り迎えをしてくれた事に お礼を言った。
次に往くのは どこなんだろう?
まず、地獄で焼かれたりするんだろうか?
怖いけど頑張ろう。どうせもう死んでるんだ。
とにかく早く移動がしたかった。
月夜見大神を どう呼んでいいのか迷って、結局
「大神様」と呼びかけた。
柚葉ちゃんのように、“月夜見様” と名前を呼ぶのは気が引けた。神様だし、お会いしたばかりだ。
「何だ?」
「俺... いえ、私は、両親を見守る事が出来るよう、罪を償いたいのです」
「うむ」
大神は、頷いただけだった。
でも俺を見つめていて、“次は どこの界に”... とは、聞きにくい雰囲気だ。
緊張しながら待っていると
「その事だが... 」と、大神は 袖の中に組んでいた右手を出して、俺の額に触れた。
何だろう... ?
「ここで償え」
ここで? よくわからずに、大神の眼を見ると
「柚葉がしておるように、常夜の闇を抜いて参れ」と言われて、ますます わからなくなった。
とこよるの闇って、柚葉ちゃんが抜いてくれた あの闇色の靄なんだろうか?
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