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「もう、許されておろうよ。
また 生者等が、お前の為に祈った事により、お前は禊がれたのだ」
じゃあ、俺は本当に ここに留まる事が許されるのか?
父さんと母さんや、今田達、滝川達、同級生だった皆が 祈ってくれたおかげで、父さん達を見守る事が...
「私や 浬さんのように 何人かの方々は、月夜見さまの下に 残っておられますよ。
みんな、怨恨や怒りの念を 常夜に送ってます。
月夜見さまは、常夜の主でもあられるので」
出されていた手を 白い袖の中に戻して組んだ 大神は、柚葉ちゃんに
「なかなか しっかりと話せるようになったものよのう」と 感心されて、俺に向き直られた。
「柚葉は 殆どのところ 月の宮に居り、ミシンで衣類を作っておるのが常であるが、お前が仕事に慣れるまでは、お前につける事とする。
闇を抱く者を探し、手を握るがよい。
さすれば闇を感得して抜く事が出来、闇は常夜へ向かう」
大神の説明を聞きながら、ここに居て父さん達を見守れる という事に、また胸を熱くしていた。
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