7/13
前へ
/298ページ
次へ
今田に “着いたけど” とメッセージ送信すると “地下に居るんだけど、ドアが開かなくて” と返ってきた。 駐輪場の真ん中を通り、右側の硝子が破壊されたドアから中へ入った。 正面には、受付のような横に長いカウンターがあり、一階は ほぼ全体が待合室となっていたようで、左右が広く空いていて、緑色のビニール製のカバーが破れたソファーが 幾つか残っている。 赤いスプレーで壁に書かれた下手な字の落書きが目に入ると、妙に白けた気分になった。 受付の長いカウンターの隣、待合室の真ん中には、二つ並んだエレベーターがある。 当然、作動していないが、B1という地下を示すボタンもない。 地下に続く通路や階段なんか どこにあるんだ? 待合室の右側は L字型になっている建物のコーナーになっていて、更にその少し右側には 割られた窓越しに上へ登る階段が見える。 階段へ向かってみると、地下へ下る階段もあることに気づいた。 ただし、両開きで大きく開く 二枚の鉄のドアが閉じている。 このドアの向こうに 今田が居るのか? と、ノックをしながら声を掛けてみたが、返事は返ってこない。
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

215人が本棚に入れています
本棚に追加