機械仕掛けの神、落ちる。

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 ガッシャーン!  突然、重量のある何かが落下したような激しい音がして、辺りが暗転した。 『お客様にご案内申し上げます。機械のトラブルが発生したため、誠に恐れ入りますが、ただ今を持ちまして終演とさせていただきます。本日はご来場いただき、誠にありがとうございました――』  ***  30分後、舞台裏にて。 「はい、臨時の反省会を始めます。知っての通り、今日はアドリブ多めだってお客さんに告知出してたから、みんな意識してアドリブを入れてくれたね。まずその点はよかったと思う。面白い演技もたくさんあった」 「……」 「ラストだけど、機械の不具合ってことにして強制終了したの、何でか分かる?」 「……」 「言い訳ある人? 『木岡』?」 「すみません監督。まだアドリブの加減とか全然分からなくて……『土門』が超能力を使ったから、そっち系もアリなんだなって思って」 「まあ、君は舞台は初めてだからね。じゃあその『土門』は?」 「悪乗りしたのは認めます。ただ、あそこからバッドエンドを回避して、主人公の『木岡』を立てるとなると、いい方法が思い浮かびませんでした」 「なるほど、そういう機転をね。『水戸部』?」 「観客が自分に期待しているのは、予定調和をぶっ壊すああいうアドリブなんだと思っています。バッドエンドのことは頭が回りませんでした」 「ふうん、観客目線か。『火宮』は何かある?」 「私はあんまり思い切ったアドリブを入れられなくて……逆に、皆さん楽しそうだなって思ってました」 「OK……ひとまず、今度アドリブの稽古も入れよう。あれ? これって矛盾してるか? ハハハ」  観客の評判は散々だったが、この日の公演は伝説回、あるいはデウス・エクス・マキナ事件として、演劇史にしっかりと刻まれたのだった。  
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