18.4年ぶりの音の便り

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18.4年ぶりの音の便り

早速ホテルに戻った颯汰が咲苗の渾身のバラード1番の動画を送った。 それから30分もしないうちに返信が来た。そして、急遽電話をすることになった。絵美から思わずボロが出ないよう注意を受けた上で電話に出る。 「え!?どういうこと?今って颯汰、ウィーンにいるの?」 「そう。新婚旅行でウィーンにね。それで、お店でピアノを弾いてた人が、偶然さなちゃんだったんだよ。びっくりして、絵美と声をかけたんだ」 「何その偶然(笑)すごいね!で、もう一曲弾いてくれってリクエストしたってこと?」 「そういうこと!すごいでしょ?ヤバいよね、鳥肌ものだよね!」 「最初ピアニストに会ったよみたいなことで送られてきた演奏かと思ったんだけど、よくよく見たら、さなってことだよね?」 「そうだよ、さなちゃんの演奏だよ!ピアニストの演奏にも負けないよね!」 「4年ぶりに聴いたら、さらに進化しててびっくりした!さなと話できたの?」 「あまり長くは話せなかったけど、話したよ。今卒業試験曲の練習中で忙しいみたいだった。絵美にいい脱力方法はないかって相談してたから、それの指導を受けてた感じかな」 「そっか。元気にしてるなら良かった。卒業に向けて忙しかったのか。確かにあっちの大学の卒業試験は相当大変だって聞くしな」 「そうなんだ。そんなに大変なんだね」 「俺も来年卒業試験受けるかと思うと胃が痛む」 「そっか。拓真は来年が卒業だもんな。卒業試験曲って大事なんだろ?さなちゃんも相当迷ったって言ってたよ」 「やっぱり迷うよな。集大成を見せなきゃいけないんだもんな」 「ちなみに、さっきの曲も試験で弾くって言ってた。リハーサルとして俺たちに聴いてもらいたかったらしいよ」 「なるほど。あれでリハなのか。本番ぐらいでもいい仕上がりになってた。でもあの人のことだから、これじゃまだまだとか言ってるんだろうな」 「あー、そうそう。失敗作だとか言ってたよ。いやいや俺たちからしたら鳥肌立った演奏だったのに」 「目標高いからねー。さなはいつも」 「だからこそ、あの演奏力なんだろうね」
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