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ああ、そういうことか。
わかったよ。お前のやろうとしていることが。
未来の俺は、過去の俺を止めるために来たのだ。
俺は笑みをこぼした。
「お前は今日のことを後悔しているのか」
「だからこうしている。後悔するからやめろと口で止めても、俺ならきっと聞かない。その考えに取りつかれているから」
「その通りだ。俺はやめない。やめて後悔しない保障はどこにもないだろう?」
そうだ。俺は、彼女を殺すか殺さないか。そのことについて考え、ここまで来た。そして〝俺〟が来る直前に、どちらにするかは決まっていた。
彼女を殺そう、と。
「お前を止められるのは俺しかいない。心が欠けた俺。そんな俺を受け入れてくれた彼女を殺した俺。そうなる前に、俺がお前を殺す」
これが俺の運命。自分に殺されて人生を終える。なんて、なんて素敵な最期だろう!満ち足りなかった俺の人生。こんな最期を迎えられるなんて、夢にも思わなかった。
過去の俺が死ねば、未来の俺は消える。
〝俺ら〟は、笑った。涙を流して、幸せそうに。
「これで、満足だろう?」
あぁ、満足だ。
満月の夜、静寂を切り裂くように、銃声が響いた。
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