それは祝福、あるいは

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隕石が落ちてから数か月、時間はあっという間に過ぎ去り、ブドウの収穫の時期になった。 今年のブドウは非常に出来が良い。 宝石のようにつややかで、みずみずしく、しっかりとした甘みがある。 かつてないほどの豊作だった。 ヒルソンと私はいつものように協力し合って、お互いの畑のブドウを数日かけて収穫していった。 モリーもミアも、作業に携わっていた。 煌めく太陽のもと、栗色の髪をなびかせブドウを摘むミアは、まるで絵画のように美しい。 その様子を見て、ふと、思う。 幼くして病気で死んでしまった息子が生きていたら、ミアと同じくらいの年齢になっていただろう。 親のエゴではあるが、きっと二人は良い関係を築けていただろうと思わずにはいられない。 一通り収穫が終わり、夕方の涼やかな風が吹くテラスで一息ついていると、ヒルソンが思い出したように口を開く。 「明後日、ドニーが家に来るんだ。それで、パーティーを開こうと思うんだが、ジョセフも来ないか?もちろん、モリーも一緒に」 ヒルソンのいとこのドニーは、仕事でよくこの辺りに来ることがあった。 今回もそのついでに寄るという。 「ああ、ドニーか。久しぶりだな。もちろん、喜んで。楽しみにしているよ」   * * * ドニーは昼前にヒルソンの家に着いた。 私とモリーもちょうどヒルソンの家に向かっていたところだったので、ドニーとは玄関前で会った。 ドニーが扉をノックするよりも早く、ヒルソンが出てきた。 「ドニー!久しぶりだな」 「ヒルソンもジョセフも。歳を取ったな」 「モリーは変わらないけど」と冗談めかした口調で付け加えた。 「あら」と頬に手を当てるモリーを、私は肘で小突く。 ヒルソンは嬉しそうに笑い、私たちを家に招き入れた。 「少し居間で待っていてくれ。すぐに食事の準備をするよ」 「準備なら、一緒にやったほうが早いんじゃないか?」 というドニーの提案に私たちもうなずき、皆で用意をすることになった。 「天気がいいから外で」というモリーの言葉で、テーブルや椅子を庭に運び出し、料理を並べる。 ラザニアに羊肉のソテー、野菜たっぷりのスープ、ふっくらと焼かれたパンに生ハムとチーズも。 これらはミアとヒルソンの二人で作ったという。 モリーはブドウのタルトを持ってきていた。 皆が席について、最後にこの畑でとれたブドウで作ったワインをグラスに注いで、パーティーは始まった。
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