それは祝福、あるいは

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「ドニーが、あの後事故にあって……死んだそうだ」 「なんだって?」 ヒルソンが家の扉を叩いて知らせを運んできたのは、パーティーから二日後の夕方のことだった。 「車は道をそれて木に衝突していたらしい。だが不思議なことに、ドニーの体には何か大きな獣に引っ掛かれたような跡があったとか……」 得体の知れない恐怖を感じて絶句する私に、ヒルソンは「だから、葬儀に行くよ」と何でもないように続ける。 「私たちは行かなくてもいいの?」 モリーが心配そうに言う。 「ああ、気にしないでくれ。ただ、ミアが……。体調が良くないらしいんだ。留守番をさせるから、様子を見てやってくれないか」 私はモリーと顔を見合わせ、神妙な顔で頷く。 「ああ、もちろんだ」 「ありがとう。三日程度で帰ってくるよ」 ヒルソンは外に止めてあった自らの車に乗り、 「行ってくる」 と短く言って出発した。 じきにヒルソンの車は、丘の向こうに消えて見えなくなった。
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