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ポカン
この私がこれほどまでにかわいさに打ちのめされるとは。
つぶらなおめめ。ポカン系最上級のお口が我が理性を蕩けさせる。
いかん。ずっと見つめていると使命を忘れそうだ。
「ヒマリン、どうやって作ったの?」
ミツキも心を奪われている。
「うずらの卵にケチャップで顔を描いたのですわよ」
そんな単純なことなのか?
「本当にそれだけか?」
「それだけですわよ」
「海燕の巣も海獣の角もいらぬのか?」
「いらぬですわよ」
ウララも来た。
「ヒマリン、一つもろてもええか?」
「もええですわよ」
言葉の切り方がおかしい。
「私も、私も。あーん」
ミツキも口をポカンと開けようとするが、ホヤの赤ちゃんには到底太刀打ちできぬ。
いや、食すのか。
もぐ、もぐ、もぐ。
もちろん私は食さぬぞ。ミツキとウララだ。
「どうだ?」
「うずら卵にケチャップは合わへんな」
「ホヤの味がしない」
そりゃそうだろう。
そんな我々をよそに、苦しんでいるものが一人。
「う、食べれないのだ」
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