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昭和1
「昭和だな」
放課後、小湊ヒマリが我々を連れて行ったのは、昭和な香りのするレストランであった。
さすが田舎だ。まだこういうところがあったのか。
嫌だが、ミツキがはしゃいでいる。
「ねえ、ねえ、ユミナ見てよ。ショーウインドウの食品サンプルがリアルじゃないよ」
「昭和だな」
酸化した油の匂い、四角いテーブル、手書きのメニュー。
まさしく昭和だ。
「で、小湊ヒマリよ。ここでどうしろと言うのだ?」
「ニンニクを食べるのに良い方法がありますの」
餃子が運ばれてきた。
「これなら、カレンちゃんでも食べられますわ」
「ヒマリン、ありがとうなのだ」
パクッ。お、食せたか。
「やったのだ。克服したのだ」
「良かったですわね、カレンちゃん」
「でも、この先どうしたらいいのだ?生まれてきた目的を達成してしまったのだ」
仕方ない、慰めてやるか。
「それは御愁傷様だったな」
「カレンちゃん!」
またミツキか。
「本日、ニンニク切らしてますって書いてある!」
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