0人が本棚に入れています
本棚に追加
弁当
学園生活の中で、最も忌むべきは弁当の時間である。
「やった〜!お弁当の時間だ〜!」
私の前の席で子どものようにはしゃいでいるのは、もちろん御手洗ミツキである。
「ねえ、ねえ、ユミナ。今日のお弁当、何持ってきた?」
「平常通りだ」
私は食事を憎んでいる。
元大魔王であるこの私は、すでに食物からエネルギーを摂取するという低次元な段階など、とうの昔に卒業しているのだ。
ただ本来であれば太陽エネルギーさえあれば十分なのだが、一応まだ人間の肉体を維持せねばならないということで、一日一食フルーツだけは食す。
それはミツキも同じはずなのだが。
「ねえ、ねえ、見て見て。今日のミツキのお弁当、クマさんだよ」
「またキャラ弁か。幼稚な発想だな」
そこに割り込んできた別のクラスメイトがいる。
中森ウララである。
「ミツキの弁当かわいいな〜」
「キャラ弁、いいでしょ〜」
「でもウチの方がかわいいんよ」
「ウララのは何?」
「ホヤ弁や」
「ホヤ弁?」
最初のコメントを投稿しよう!