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珍しく辛辣な言葉に、言いすぎたかもしれないと思いつつも、この茶番を早く終わらせたいという気持ちで黙り込んだ。
「それでも、これは決定だから」
「え?」
かなり間の抜けた声が出たかと思い、秋久を仰ぎ見れば、戻ってきて初めて真剣な表情を見せる彼がそこにいた。
「親父たちも了承済みだ。お前の両親にはいまから話をしてくる。古都に先に話はしておいたからな」
「ちょっと! 秋久!」
何年振りかに名前を呼んでしまったことを後悔する間もなく、そのまま秋久は屋敷の中へと入っていった。
秋久と結婚? 何のために?
その言葉が本気だと分かっても、私には理解ができなかった。ただ茫然とその場に立ち尽くしていると、秋久に伴われ両親がこちらに向かってくるのが見えた。
「古都」
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