Memorable ～思い出と嘘の間で始まる愛～

非情な結婚

大原古都、今年二十七歳で私の家はこの大友家に代々仕えている。
秋久と違い至って平凡な人間で、肩より少し長いくせ毛の髪は、かなりセットの時間を要するため一つに結んでいる。

瞳は二重だがそんなにぱっちりとしているわけでもないし、外に出るときは化粧でなんとかごまかしているが、仕事中は特に誰に気を遣うわけでもないので、ナチュラルメイクしかしていない。

161㎝の身長、そして細くも太くもない体形。すべてにおいて秋久の横に立てるような人間じゃない。

屋敷と同じ敷地に家があったこと、そして多忙な秋久の両親に代わり、私の両親が、秋久と彼の弟である正久を育てる時間も多かったため、小さいころは兄妹のように過ごしてきた。

しかし、成長するにつれ、異常なほど、両親は秋久達に気遣う。いつしか私はこの兄弟の世話をするために産まれたのかもしれないとすら思い始めた。