小さな花は枯れて

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屋敷と同じ敷地に家があったこと、そして多忙な秋久の両親に代わり、私の母が私たち二人と、秋久の弟である正久を育てる時間も多かったため、小さいころは兄弟のように過ごしてきた。いや、兄弟というより、私は昔からこの兄弟のためにいたのだろう。 そんなことは知らずに育ったが、両親ですら秋久たちが優先で、私はいつも後回しだった。 そんなことすら疑問に思うことなく育ったが、成長するにつれ現実が見えてくる。それが悲しかったことは誰にも話していない。 そのころようやく、自分と秋久とは全く違う世界に生きていることを悟った。そして私は、すべてを受け入れることができなかった。 父に言われるがまま、大学に進学し資格を取り、父の後を継ぐべく一緒に仕事をし始めてもう数年になる。
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