小さな花は枯れて

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今日も何も変わることなく、仕事をしていたが、三年ぶりにいきなり帰ってきた秋久は、仕事中の私を呼び出すなりこの話題を口にした。  「古都、なんでいきなりそんな話し方をするようになったんだ?」 じっと今まで表情を変えずにいた秋久が、少しだけ真剣そうな表情を浮かべて言葉を発した。 「子供のころはよく関係を理解できませんでしたが、今は違います」 淡々と仕事のように答えれば、秋久は納得したようにため息交じりに「ふーん」とだけ言う。 「それで、私、仕事のしすぎで頭がおかしくなったんですかね? 今、理解できない言葉を言われた気がしたのですが」 自分で入れた紅茶に手を伸ばしてそれをゆっくり飲むと、芳醇な香りのアールグレイ。秋久用に高級な茶葉を使ったのだが、やはり美味しくて、私は大きく息を吐いた。
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