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いきなりアメリカだかどこからか帰ってきた秋久に、父も母も慌てていたが、淡々といつも通り軽い印象の秋久に、みんな毒気を抜かれたのは言うまでもない。
「理解できないの? 古都、大人になったんじゃなかった?」
小気味よい陶器の触れる音をさせて、秋久はティーカップを置き、少しからかうように私に言う。内心少しムッとしたが、努めて冷静に彼に視線を向けた。
「旦那様たちがいないのにどうしてお帰りに? 本当の用事はなんなんですか?」
秋久の両親はいまヨーロッパに、弟の正久は都内で一人暮らしをしているため、実質家にいるのは使用人だけという状況がこの一年続いている。それでも屋敷の維持管理は忙しい。
秋久の昔からの冗談に付き合っている暇はないと、私は少し苛立ちを感じながら秋久を見据えた。
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