認めたくない

15/25
1133人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
そうは思っていても、優しく指に触れながら、ディナーの席で出されたその箱に私は何も言えない。 「古都、強引な結婚かもしれない。でも……」 そう口にした後、秋久は箱を開ける。そこには見たこともないような輝きを放った指輪。 パヴェダイヤモンドが周りにちりばめられ、センターストーンが存在感を放っている。 「こんな立派なもの、もらえない」 手を引っ込めてしまった私だったが、その手を秋久が引き寄せる。 「はめてくれ」 まさかそんな頼まれるなど思っていなかった私は、驚いて彼を見つめた。 真剣そうな瞳に秋久の妻ならばこれぐらいの物はしていなくては、彼に恥をかかせてしまう。 そう思いなおす。 「外に出るときだけにするから」 人に会わないときは必要ないし、万が一傷でもつけてしまっては大変だ。 「それでいいから」
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!