認めたくない

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秋久はそれ以上何も言うことなく、ゆっくりと私の指に指輪を嵌めてくれた。 いつか返すものだし、お礼をいうのもおかしい気がしてしまう。 「ぴったり。大切に預かるね」 いつサイズを測ったのかと思うほど、その指輪はしっくりきていて、私は顔の前でそれを眺める。 まさか、自分がこの指にはめることなど想像もしていなくて、どんな理由であれ嬉しい。 「きれい」 ずっと見つめていたい気持ちだが、そろそろ現実に戻らないといけないと思い、秋久に向かって口を開く。 「そろそろ帰る? パーティー前に勉強に連れてく来てくれてありがとう」 私の言葉に秋久は何も言わない。その鋭い視線になぜが捕らえられたように、私も視線を外せずにいた。 「行こう」 「あっ、はい」
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