Side 秋久

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俺は大友の次期総裁になるべく、父の命令のもと、ひたすら仕事をしてきた。 だが、たまに日本に帰ると、気になって影から見ていた女の子。 時折目にする古都は、窮屈な大友家に囚われているようにしか見えず、俺の中には同情のような気持ちがあった。 俺と結婚すれば、そんな古都を解放できる。俺もこの商談を成功させ、父にも認められる。 きっと古都も喜ぶはず。そんな傲慢な考えがあったのは事実だ。 だが、俺に突きつけられたのは、はっきりとした拒絶だった。大人になった彼女は美しく、儚さの中にも強さがあり、俺にまったく興味がないように見えた。 その事実に、俺はなぜか苛立ちを感じてしまった。この感情が何なのか、その時の俺には理解できなかった。
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