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籠に閉じ込められた青い鳥は、今右京の元から飛び立った。
人々に幸せを与えるだけの青い鳥。人が幸せになる為ならば自分の幸せは押し殺す。
だけど、今右京が籠の鍵を外し、大空へと放った。
鳥の姿はどんどん見えなくなる。これでいい。右京の傍に置いておくわけにはいかない。
これからは自分の幸せだけを考えて飛べばいい。
右京は自分の手で、力で、美智留を幸せにしたいと思った。
「大丈夫。私は君を必ず幸せにする。約束しよう」いつか美智留に放った言葉。あの言葉は嘘じゃない。
美智留の幸せは凛太郎と慎ましく静かに暮らすことだ。
やり方が少し強引だっただろうか。しかし、物語とはそういうものだろう。
最後が幸せで終われるのなら、こんな突拍子もない物語もありだろう。
「もう、戻ってくるなよ」右京は大空を飛ぶ青い鳥にそう呟いた。
(了)
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