師への答え。

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 そんな一蹴の様へ、紅蓮始め皆も続き戦闘体制に入る。一方の野盗等は、有利な数が揃うにも関わらず、一蹴の気迫に萎縮した様子が見られと。そんな敵勢を鋭く見据え、口を開く一蹴。 「此の俺から奪い、勝ち取る覚悟がある奴は来い。死ぬ気でな――」  其処より、後にも退けぬ野盗等は長の男の怒声にも似た命に一蹴へ狙いを定め一斉に掛かった。しかし、何が起こったか分からぬうちに破落戸の身から飛び散る赤い色。四方に囲えど、全く隙が無いのだ。そして、そんな一蹴の力量を目の当たりにし、拾貳番隊員等も血が騒ぎ出した模様。数が揃えど、其れが無意味だと言うことを分からせてやらねばなるまい。長のみ生け捕る、帝の命は此れだけなのだから。  寄せ集めとは言え、中には治安維持部隊と張り合える程の破落戸も。そして、流石に数が多い。治安維持部隊からは雑魚と言え、適当な力量の者も居る中、疲弊を誘われる頃合いだ。一刀の時と同じく、逃亡を試みる者も出だしたのだ。其れは恐らく、散る仲間へ援軍を試みるもの。破落戸仲間も其れを促そうと拾貳番隊の隙を作らんと。そんな数の力により出来た隙。一人、二人がにやつきながら馬へ跨がった。  しかし。其の身へと矢が落とされる。傷に呻きながら、落馬してしまった破落戸。其の騒ぎに、一蹴の口の端が愉しげに上がる。他殲滅部隊が、散らばる敵軍を先に制圧し加勢に到着したのだ。一蹴含む拾貳番部隊は、此の本体を足止めさせて置く囮。此の心地好い光景に、拾貳番隊員等は疲弊も吹き飛び士気高まる。加勢隊員等も、先日の落とし前と瞳を光らせ、鼻息も荒い。そんな治安維持部隊に囲まれ、狼狽え出す破落戸一味。
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