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嘘だらけの世界
この世は嘘つきばかりが得をする。思い返せば、私の人生は嘘に翻弄されてばかりだった。
死んだと聞いていた父は、浮気した女の家に転がり込んで、別の家庭で順風満帆な生活を送っている。
真面目が取り柄だと語っていた母は、父に不倫されて以来ギャンブルにハマって仕事をおろそかにするようになった。
高校3年生の冬、母は大学に合格した私にケーキを買ってくると言い残し蒸発した。そうして私は独り、東京の寒空の下に取り残された。
幸いにも、責任を感じた母方の祖父母が大学まで通わせてくれると約束してお金を工面してくれた。
ところが母が蒸発して1年後、母は私を借金の連帯保証人にしていたことが発覚した。
「安藤さん、黙り込んでないで答えろよ。母親と連絡取れない以上、あんたに返済してもらわなきゃいけねえんだ」
闇金の取り立てと知らず、ドアを開けたのが運の尽き。強引に車に乗せられ事務所まで連行された。
デスクとソファが置かれた殺風景な部屋。ソファに座って縮こまる私を取り囲んで立つ男たちを前に、走馬灯のような思い出が脳裏を流れる。
あーあ、大学生になってから毎日楽しかったのに。
仲のいい友達の杏ちゃんとは、明日遊びに行こうって約束してたのになんて伝えよう。
そもそも、この男たちが私を無事に帰してくれる保証はない。
絶望に打ちひしがれてうなだれたその時、部屋の扉が開いた。
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