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「嘘ついてどうにかして、澪が欲しかった。
ゆっくり距離を縮めて確実に手中に収めるつもりが、我慢できなくて酔いの勢いで抱いてしまって、そっから計画ぐちゃぐちゃ」
手段を選ばない器用な憂雅さんだけど、あの夜私を抱いたのは失態だったようだ。
だから酔った時、順番を間違えたと嘆いていたんだ。
「なんか言って。最低だって罵ってもいいから」
謎が解けて解決した気分になっていた。
だけど憂雅さんはもう分かりきっているくせに、私自身の言葉が欲しくて催促するように頬を撫でる。
だから言葉の代わりに、背伸びして口づけを求めた。
察した憂雅さんは腰を曲げてかがんでくれたから、触れるだけのキスをして、それからいつも通り笑って見せた。
「借金を肩代わりしてくれたあの時から、私は憂雅さんのものだから、好きにしてください」
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