第1章(1) 盛りすぎた手紙

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第1章(1) 盛りすぎた手紙

「実は昨日こんな手紙が来たんだよ」  受付の市川晶子の元に、お馴染みの窓際警察官・舟橋が現れた。 「部署違うんですから、わざわざ私に報告しなくても良いですよ」 「普通の手紙だったら持ってこないよ。ちょっと変なんだよ」 「変ってどういう部分がですが」 「例えば、これだよ」  舟橋が見せたのは大きな封筒だった。 「まず宛名ね」  晶子が見るとB4サイズ位ある大きな封筒の中央に、毛筆でくっきり宛名が書かれていた。  千葉県警本部        舟橋捜査一課長殿  一瞬見逃しそうになるが、明らかに間違っている部分がある。 「捜査一課長なんて、めちゃめちゃ上げられてますね舟橋さん」  晶子がイジワルそうな目でみると、 「俺が言ったんじゃないよ。送り人が間違ってるんだよ」 「どういう人なんですか」 「いや知らない人なんだ。もう亡くなってる」 「また変な事言いますね。死者からの手紙とか、何が書いてあったんですか?」 「それがさぁ不思議な事書いてあるんだよ」 「どんなことですが」  舟橋は少し言い淀んだ様子になった。 「二十年前の未解決事件、千葉県警最大の汚点の真相を今からすべてをお話しすると書いてあった」 「また、すごい大ネタじゃないですか。千葉県警最大の汚点の未解決事件てどんな事件なんですか?」 「いや、そんな事件起こってないし、俺にも覚えないんだよ」 「具体的にどんな事が書いてあったんですか」 「手紙はデスクに置いてきたので、後で見てもらうよ」 「やっぱり釣りか、ちょっと面倒くさいんですけど」 「反応雑だなぁ。分かったメシおごるから、それで良いよな」 「メシって、何でも良くはないですよ。こっちで指定してもいいんですか?」 「いいよ、ただし1人2000円までな」 「もう一ランクアップ」 「2500……3000円で良いよ」 「四捨五入で5000円でお願いします」 「どういう四捨五入だよ。3500円までね。じゃああとで」
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