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第2章(3) 案内人エドワード秋信2
「今日一日、舟橋刑事ご一行を不自由なくご案内せよとの指示を上司より受けておりますので、どうぞ」と、エドワード秋信は2人を駅隣接のビルに案内した。
「どこ行くつもりですか?」
晶子が舟橋に聞くと、「事務所にでも行ってコーヒーでも出してくれるんじゃないか」と自分の欲求がらみの返答をした。
そこはホテルのロビーだった。顔見知りのようにフロントマンが礼をした。
ビジネスホテルのようだが、内装はセンスある落ち着いたデザインだった。
ロビーの隅には、テーブルとソファーが置かれた休憩コーナーのような場所あり、なれた感じでエドワードが着席をすすめた。
ソファーは腰掛けると座面が低くてふわふわして、普段見慣れた警察のものとは段違いの高級感があった。
エドワードはホテルスタッフを呼ぶと「ミネラルウォーターを3つ」と一方的に注文した。
ミネラルウォーターと聞いて、舟橋と晶子は嫌な思い出に顔を見合わせた。事情を知らないエドワードは不思議な顔をした。
そんな空気を取り繕うように舟橋が話し出した。
「今日はお休みの日なのにすいません。話が聞けるようにだけしていただければこちらで回りましたのに」
エドワードは爽やかに口を横にキレイに開いた笑みで答えた。
「いえいえ、住宅デベロッパーは土日が稼ぎどきなのですので出勤しております。笹ヶ丘に住む方は皆んな家族みたいなものなので、私共に任せていただいた方が安心ですよ。それに、そもそもは弊社からお願いしたお話なので、こちらこそありがとうございますです」
やっぱり言葉が変だ。ハーフの帰国子女なのだろうか。
「舟橋課長からいただきましたリストを元に私どもの方で、今日一日の捜査計画を作成しました。こちらがスケジュールで、これがマップです」
テーブルの上には、クリアファイルに2セットの資料が置かれた。このエドワードは派手な見た目にそぐわず結構几帳面なビジネスマンなのかもしれないと晶子は思った。
資料の中を見るとまず、『あんしんあんぜんタウン笹が丘』と書かれた地図が出てきた。住宅街や公園などがかわいい絵で書かれたものだった。
「いや、こういう全体像必要かな…」晶子は舟橋に確認しようとしたが、プレゼンモードに入ったエドワードが「まずは、笹が丘の街を理解していただいたほうがいいかと思いますので、街を案内させていただきます」とノリノリで話始めた。「ランチは街の人気の蕎麦屋さんを予約しております。お蕎麦苦手でしたら、ベーカリー併設のイタリアンなんかもありますので」
「いや遠足に来たんではないんですが」
晶子が口を挟もうとすると、舟橋が地図を見ながら「地図のここにある蕎麦屋ですね。銚子のカツオ節と10割蕎麦か、楽しみだすね。市川もそばでいいよな」とノリノリ。
「そのあと手紙を出しました弊社元会長の自宅で、奥様から話を聞いて頂きます。そのあとは、事件のあった家に行くスケジュールです。こちらも奥様とアポイントがとれています」
エドワードがそれぞれを細かく時間別に書いたスケジュールを説明する。
晶子は無駄の多さを感じ
街の案内とか全然いらないんだけど、と強く思った。が先に舟橋が言葉を挟んだ。
「何から何まですいません」
完全肯定なのか。乗っかるつもりなのか。
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