4

1/1
前へ
/7ページ
次へ

4

次の日も撮影だったため、昨日いたスタッフに話してみると、 一瞬絶句した表情になったが、すぐに何やら思いついた表情に変わった。 「杉浦さん、大丈夫ですよ。犯人は杉浦さんの髪を狙ってくるはずです。 なら、その髪を1回全部切ってしまいましょう。 仕事的にも切れないのは分かりますが、命あってのものです。 髪が伸びるまではウィッグで隠して、ちょっとゆっくりされたらどうですか?」 そう言われたので、素直に従うことにした。 今までの被害者は髪のように切ることは出来なかったが、私の場合は対処可能な部位だ。急に安堵感が全身を駆け巡った。 そして、自分が髪を切る動画をSNSなどを活用し、より多くの人に知ってもらう機会を設けた。 この動画を犯人が見て、諦めてくれたらそれに越したことはない。 自分が髪を丸めた動画は、SNSでちょっとした話題になった。 恥ずかしい気持ちとどこかで犯人の目に触れているのではないかと安堵する気持ちが入り混じった複雑な感情が芽生えた。 それから3日目まで自宅で過ごすことにし、人との接触を避けた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加