199人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
私には秘密がある。
それは──…
「あっ、ん…んく…ぅ」
しっかりと手に握られたそれは大人の玩具。
処女だというのに、処女だというのにそんなものを使って快楽を得てしまっているのだ。
「あっ、も、ダメ、イッちゃう…あぁんっ」
中に埋め込まれている玩具を取り出して避妊具を外してゴミ箱に捨てる。
私、雅 花音はベッドにハーッ、ハーッと呼吸を荒げて体を投げ出した。
絶望はすぐに訪れた──…
「これ、なーんだ?」
目の前の男、関川 透が手にしているのはまさに花音の大人の玩具で。引き出しにしまっておいたのに、何で⁉何で⁉
「勝手に引き出し開けたの⁉サイッテー!」
花音は布団にうずくまって死んでしまいたいと恥ずかしさに震えた。こんなもの見られたらもう生きて行けない。というかお嫁に行けない。
透は花音の二つ年上で18歳のお兄ちゃんだ。
サラサラの黒髪、形のいい二重瞼、薄い唇。下級生の憧れの存在だ。対する花音は16歳で黒髪のボブヘア、くっきりした瞳、ぽってりした唇。男子から人気があるのかはわからない。
子供の頃、母はこう言った「透くんはお兄ちゃんなんだよ?」それを成長するに際して、何か事情があって一緒に住めない本当の兄なんだと花音は思い込んでいた。傍からみたらバカな話なのだが花音は真剣にそう思い込んでいる。
「花音、これ使って何やってたの?」
そんなの訊かなくてもわかるくせにっ!
本当に最低!サイッテー!
花音の瞳からボロボロ涙がこぼれる。
すると透がデスクからこちら、ベッドの方に近づいて来る。花音が被っている布団をガバッと引きはがすと、花音に馬乗りになってきた。
「お兄ちゃん…?」
「泣くなよ、花音」
透が花音の涙を指で拭った。
と、同時に花音に覆いかぶさって来て。
「や、お兄ちゃん!」
「なぁ、花音、これ使ってるとこ見せて?じゃないとおばさんに言うから」
おばさんとは花音の母親だ。
お母さんにこんなことが知られたら…花音は絶望する。
「でも…そんなの…」
花音が再び涙目になる。
こんなの使ってるところお兄ちゃんに見られるなんて無理っ!
それなのにお兄ちゃんが「花音、早く」と冷たい声で言ってくるから。花音は震える手で玩具を受け取った。
どうしよう。どうしよう。
最初のコメントを投稿しよう!