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「あぁ!何してるんですか勿体ない!!」
「ウ"ォウェ"ェ!ちょ・・クソまず・・オ"エ"ェ!!」
苦い臭い辛い酸っぱい。しかし甘みもどこかにある。だが、やっぱり不味い。とにかく不味い。
不味いという以外何物でもない。
一体何が入っているのかと目で訴えた。
「神力に良さそうな物を色々入れてみました。」
桃に甘酒、林檎に柘榴。ここまでは許す。
そこで何故ここで唐辛子入れたのだ。
武の百足の心臓、ヨタマノフカヒレ、亀の鼓膜、海蛇の血液、沙蚕。
「何を飲ませんじゃああぁ!!!」
神力に良いとは何を根拠に言っている。そして何故に沙蚕を入れた。奇食云々ではない。嫌がらせ以外の何ものでもない。
怒鳴る翠を見て嬉しそうに照れるな。殺意沸くと更に切れる。
「草庵が作った色々な漢方も混ざっているので健康にもいいはずです。」
「何をもって健康に良いと言いきれんだ!?」
「頭良くなりそうだなと思って猿脳も混ぜようかと思ったんですけど・・・。」
神の使いをこれ以上犠牲にするな。沙蚕はそもそも神の使いではない。魚の生き餌である。
「下界の北欧の酸っぱい発酵ニシンの汁もありますよ。」
取り出したのが大きめの瓢箪。蓋を開ければ道場の中がとんでもない匂いに侵される。
翠の意識が遠のいた。
鍛錬後、湯浴みで汗を流した後、道場に来たララ達は中の激臭が立ちこめる中、気絶した翠を見て吐き気を抑えながらその原因を持っている千波に説明を求め事の流れを聞いた。
「何っつーもんだしてんのよ!?」
ニシンの発酵食品であるシュールストレミングは北欧の立派な奇食の代表である。
鼻のよくきく犬神兄妹はこの激臭を嗅いだ瞬間に白目を向き口から泡を吹いてぶっ倒れた。
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