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「お前ら、二人共処刑な」
アンドロメダ銀河第一星団の極東に位置するエ、ジタクヨウリョウモウホケンオリナイノ星に極悪盗賊団のボス、ユウキュウモウナイヨヤバイヨが足元に跪く部下二人に烈火の如く怒りながら、白い翼をはためかせていた。
ユウキュウモウナイヨヤバイヨは地球のビジュアルで例えれば所謂アヒルだ。但し足は四本ある。
だが脱力系の見かけとは相反し、実は物凄く怖い。
更に極悪盗賊団のアジトであるこの部屋は
おどろおどろしい洞窟の中を想起させる、
謂わばナチュラルホラーテイストのアジトだ。
「いえ...ですがボス。お言葉ですが、この部屋には何人たりとも侵入する事は不可能です。万全なセキュリティーを兼ね備えてますから」
ユウキュウモウナイヨヤバイ(略してヤバイヨ)を正面にして右側に片膝をつく昆布の様な形状をした部下がぬるぬると言い訳した。
「そうですよ!盗賊団が泥棒に入られるなんて恥ずかしい失態を犯す筈ないでしょう!
ボスが不在の間、誰もこの部屋に立ち入っていない事はモニタールームで確認済です」
昆布の隣の鰹節みたいな形状の部下も、ぶうんぶうんと片膝をつきながら頭を振った。
「嘘をつくな!全くお前らもう泥棒になっているんだから嘘はいらーん!正直に言え!ならばコレはなんだ!あの艶々としたカカオのコーティングのチョコパイがホワイトチョコにすり替わっているではないか!!」
ヤバイヨが四本足の一本を振り上げて、テーブルとして使用している背後の隆起した平らの岩の方を指した。
確かにヤバイヨがいう様に、そこには雪のように真っ白なチョコパイが一個、葉っぱの皿に鎮座している。
「申してみい!ああ?出汁以外にお前らに何かでるんかい?」
めちゃくちゃなパワハラとモラハラに熱くなった出汁コンビの二人は突然、すっくと
立ち上がり同時にチョコパイの方を指さした。
「アレは カビです」
「......え?」
「ヤバイヨ様が不在の間に湿気で菌が繁殖したのですよ」
ヤバイヨが目を凝らすと確かにふわふわとした何かが表面をびっしりコーティングしている。
「コホン。よくぞ見破った。それでこそ我が部下よ。褒美にコレ(チョコパイ)を食すがいい」
出汁コンビは同時にゆるゆると首を横にふりながら密かに盗まれ○手紙という推理小説を思い出した。
誇らしくなった二人の身体から、ちょっとだけ何かが出た。
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