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✩.*˚
僕は寛太さんに抱いてもらった後もクラブに会いに行った。
あくまで店員と客の間柄だったけど、行く度寛太さんは僕の相手をしてくれた。
前よりたくさん話しもしてくれて
優しくしてくれていて
周りには僕をお気に入りと言ってくれていて
だから勘違いしそうになった。
もしかしたら寛太さん、僕のこと・・・・・・・そう思った時、
『柊』
友達のタケルが後ろに立っていた
「タケル久しぶり」
『久しぶりじゃあらへんがな。ちょっとあっちで話そうや』
そう言ってタケルは寛太さんから少し離れた場所に移動して僕を険しい顔で睨みつけた
『柊!寛太さんはやめとけ言うたやろ?』
「・・・・」
『寛太さんに抱いてもらったんやろ?俺もたまに来るから噂で耳に入るんや。大学生の華奢な子が寛太にまとわりついてるって。』
「まとわりついてるって・・・お話してるだけだよ・・・」
『柊、もう寛太さんは諦めぇや。お前が辛くなるだけや。』
「わかってるよ。でも好きなんだもん」
『だったとしても、いつまでもこのままじゃいられないんやで?』
「・・・・わかってる」
後2ヶ月もすれば僕は地元に帰るから。
遠く離れた地元に帰ってしまえば、今の様に寛太さんに会いに来ることは出来ない。
抱いて欲しいとお願いした時は、それだけでいいと思っていた。その思い出を胸に地元で生きていこうと思っていた。
でも今はなかなか踏ん切りがつかなかった。
人間は欲張りな生き物だ。
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