寛太side

1/6
前へ
/38ページ
次へ

寛太side

🎄.* 「みなさんこんばんは。時計の針は0時をまわり、 始まりました、kantaのMidnight Radio。 日付も変わって今日は12月24日。 Merry Christmas。クリスマス・イブですね。 皆さんはクリスマス・イブの思い出はありますか? 僕のクリスマス・イブの思い出は・・・・いつもクリスマス・イブが来ると思い出す人がいます。5年前に出会ったその子との思い出かな・・・・・では、まずはクリスマスソングを一曲聞いてください」 洋楽の有名なクリスマスソングが流れてくる。 俺はその間喋るのをやめて音楽を聞きながら次の流れを確認する。 あいつ今何してるんだろ・・・・・ 俺は左腕に着けているブレスレットをそっと右手で擦りながら、5年前あいつと出会った時の事を思い返していた。 🎄.* 5年前の俺はゲイが集まるナイトクラブで DJをしながら空いてる時間はクラブのBARでシェイカーを振っていた。 週末は22時を過ぎた頃から男たちがどんどん集まってくる。 お酒を楽しみたい人 踊りに来る人 ドキドキした出会いを求めに来る人 今宵一晩だけの相手を探しに来た人 その空間にはたくさんの人の欲が渦巻いていた。 一晩に何度かDJをしながら、出番のない時はバーカウンターの中に入りお酒を作るバイトをしている。 好きなことをして欲求は満たされていた。 そこそこモテていて、相手には困らなかった。 アプローチしてきた相手と気が向いた時だけセックスする。 寛太は1度した相手とは2度はしない。 そう周りに言われていたけど、その通りでそれはその子に本気で好きになられても困るから深くは関わらなかった。 俺はその頃1人の人を愛するということがよく分からなかったから。 恋人なんて出来たって窮屈なだけ。 自由にしたいことをしたいように生きたい。 ただ、好きな時に気持ちいいことを楽しめればいい。 そう思っていたから後腐れない相手とだけしたい時にからだを重ねていた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加