ホワイトデーにはとびきりの花束を《リョウタside》

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中途半端な時にいきなり登場してしまった薔薇の花束を抱えた俺に、 一気にナオとお店の人達の視線が注がれた。 「あ、あのさ、実は今日・・・・ナオにプロポーズしようと思ってたんだ。だから花束も用意してて・・・・でも指輪買う時間なくて用意してないから・・・・だから改めて後日プロポーズを・・・・」 「え?今日してくれないの?」 「えっ?!ナオちゃんプロポーズ受けてくれるの?!」 「いや、受けるとかは別にして。薔薇の花束せっかく用意してくれたんでしょ?せっかくだしプロポーズしてよ」 「あ、うん。」 プロポーズなんてしても軽くあしらわれると思っていた俺は、意外と乗り気なナオに驚きながら薔薇の花束を抱えながらナオの座る席の前まで行き、膝まづいて花束をナオの前に差し出した 「川崎直哉さん、僕と一生一緒にいてください。僕のパートナーになってください。」 1、2分経っただろうか。 返事がなくて不思議に思っていると、ナオが俺の手から薔薇の花束を受け取った。 「わっ、重たい。すごいね。何本あるの?」 「108本」 「キザだね。さすが元遊び人」 「もう遊ばないよ。絶対浮気しない」 「本当?」 「本当。俺、昔好きだったアイツが死んでからずっと空っぽだったんだ。どんなに可愛い子と遊んでもずっと満たされなかった。 ずっと逃げてきたんだ、本気で好きになる事を。 だって好きになってもまた死んじゃうの怖いんだもん。 でもナオちゃんのこと好きになって思ったんだ。 死んじゃうのは怖いけど、それでもナオちゃんとは死ぬ間際まで一緒にいたいって。今日病院で改めて思ったんだ。何かあった時ナオのいちばんそばにいたいって。」 「・・・ふーん。昔のリョウタくんとは別人。まあ、信じてもいいかも・・・すみません、このお花、帰るまで預かってもらえますか?」 、そう言ってナオは店のスタッフに花を預け、俺の左手を掴んだ 「リョウタくん、プロポーズ済んだ?言い残すことは無い?」 「?あ、うん」 「じゃあ、僕の番ね・・・リョウタさん、僕と結婚してください」 そう言ってナオは、俺の左手の薬指にシルバーの指輪をはめた
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