雨の足音

2/3
前へ
/3ページ
次へ
 しばらくしてまた雨が降った。  今度は少し進んだところで彼女を見かけた。  この日も視界が悪かったので、同じような雰囲気の人だとしかわからない。  彼女は朝から雨だったのに、傘はやっぱりさしていない。  ドキドキしながら歩いていると、また別の街灯の下でふっときえた。  さすがに怖くなり、走って家に帰ろうとしたが足がもつれて言うことを聞かない。    近くで見たわけでも、特に何かをされたわけでもない。  何かを見間違えているだけだと自分に言い聞かせてみたが、なかなか震えが止まらなかった。  家に戻り、家族に笑い飛ばしてもらってようやく、私は少し落ちつきを取り戻した。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加