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ヤモリの言い方は、まるでランドに明るみになったらまずい秘密があるかのようだ。
ランドはヤモリの四角い顔を正面から見据えた。
カイヤの父が魔法省に相談に行くのは想定内だった。
四月から新年度になる。
カイヤを一般学校へ転校させるなら良いタイミングだが、魔法使いにこだわる父親は息子をこのまま魔法学校に残したかった。
そのため、ランドが折れるまでは個人情報の漏洩だとかランドの診断が誤診だと主張し、訴えてやると騒いで時間を稼ごうとしているのだ。
だから…
カイヤの父が持っているランドの個人的な情報はランドとの取引のカードだ。
魔法省でそんな話をするはずはない。
ヤモリが匂わせてきたのはどこから得た、そしてどこまでの情報だろうか。
それが分からない以上、ランドからは何も言えなかった。
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