記憶

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マサトはあんなに綺麗な女の人が母親だったらいいのに、とボンヤリ思うだけだったが、よく親同士があの家の悪口を言っていた。 「子供ほったらかしで遊び回って」 「水商売らしいね。夜も帰ってきてないよ」 「この間は男が迎えに来てたよ」 「子供の父親じゃないんだろ?」 「子供の声が全然聞こえないよねぇ。 死んでたら困るよ」 「いっそ泣き喚いたら通報するんだけど」 「家賃はちゃんと払ってるし、まぁそこまでしなくても…」 マサトは全ての内容が理解できたわけではなかったが、子供心にあの家は自分のウチのような家庭とは違うというのは分かった。
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