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初めのうちは一日一回、マサトの母が合鍵で子供の様子を見るだけだったのが、そのうち家で何時間か預かるようになり、とうとう若い母親が平気で三日も帰ってこなかった時はマサトの母もブチ切れた。
「あんた、いい加減にしなさいよ!
こんな小さい子置いてどこほっつき歩いてんの!?
食べ物もオムツもウチが世話してやんなきゃどうなってたか!!」
するとその若い母親も黙ってはいない。
「別に面倒見て欲しいなんて頼んでないでしょ。そっちこそ人の子供勝手に家に連れ帰ってんの、誘拐だよ!
この子は頭がいいから一人にしてても平気なんだから!」
今から三十年近く前、児童虐待がそれほど世間に周知されていない時代だ。
暴力は『躾』、育児放棄は『家庭の事情』と平然と言ってのけ、それがある程度まかり通っていた。
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